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坐禅と食を通じて、くらしの作法を考える。

坐禅と食を通じて、くらしの作法を考える。

特集 特集

とうふとぶっきょう

坐禅と食を通じて、くらしの作法を考える。

#009 / 東長寺・小野田豆腐店

TEXT & PHOTO / JUNYA KATO(DAYZ.)

火の灯ったろうそくにそっと手を添え、お香をたき、手を合わせ、礼をする。一連の、流れるような美しい動作と、ふわっと包み込むような線香のかおりに、参加者の緊張がほぐれていきます。その一連の動作はつまり『作法』。決まった順序で、決まった位置で、決まった動きで、いつものようにやる。そうすれば、余計なことを考えなくて済むのだと、僧侶の君島くんは、そっとみんなに言います。朝のぞうきんがけも、いつもの食事も、大事な仏事も。

コーンと鐘の音がなり、あたりは静寂に包まれ、坐禅会が静かにはじまります。難しいことはなにひとつなくて、足も無理して組まなくたっていい。集中しなくたっていいし、別に「無」にならなくたっていい。ひとりひとり、それぞれが、自分の思ったままを、思ったまま受け入れて、リラックスして過ごせばいい。

坐禅の体験と食を通じて、もっと『生活』に寄り添ったかたちで、仏教の魅力を気軽にみんなに伝えたいと、友人でもあり、曹洞宗の僧侶でもある君島氏がはじめたのは、新宿御苑の横、東長寺というお寺で行われるとうふと坐禅のイベント。夜、仕事終わりに気軽に参加できるように、7時くらいからみんなで集まって、まずは坐禅でからだとこころをととのえ、その後、とうふ屋さん、つまりとうふ作りの職人さんと、とうふの専門家(今回はとうふを専門とするマイスターさん)を招いて、とうふ作り体験と、その試食を、仏教の作法に則って(のっとって)行うというシンプルなものです。

新宿という都会の真ん中の喧騒から、すっとひとつ抜け出した場所で行われる、静かであたたかいそのイベントには、初回にもかかわらずたくさんの参加者が集まりました。

こころとからだがひっくりかえる
ほんとは知らない坐禅の魅力

坐禅と聞くと、なにやら難しい想像をしてしまいます。右足、左足をそれぞれのひざに乗せ、目をつむり、少しでも動いたならば木の棒で叩かれる。そんなイメージがあるかもしれませんが、実際はそんなことはまったくありません。まずは体を伸ばすところから。その姿は、まるでヨガやストレッチでもするかのよう。体がかたいからと言って叱られるようなこともありません。むしろ、いまの自分は体がかたいんだと、気づくことができればそれでよいのですと、褒められているような気分。足だって、両足をももに乗せるかたちでもよければ、あぐらでもよくて、自分の体にあった、バランスがよいすわり方を、自分で選べばいいようです。眠りそうになっても、木の棒で叩かれるなんてことはなく、15分ほど、静かに坐禅を組みます。坐禅を終えたみんなは、有意義な眠りのあとのような顔です。

とうふ職人の小野田さん
とうふマイスターの中村さん

坐禅が終わるころには、別の部屋でとうふ作りの準備が完了しています。今回、職人として招待されたのは、中野でとうふ屋を営む小野田豆腐店の小野田滋さん。厳選された大豆を、とびきりおいしい豆乳にして持ってきてくれました。はじめに行われた豆乳の飲み比べは、まるでフルコースの前菜の冷製スープを味わうかのようで、坐禅でほぐれたこころとからだに贅沢に染み渡っていきます。本当においしいとうふは、豆乳から違うと気づきます。その豆乳をゆっくりと焦がさないように土鍋で温めていきます。すこしでも手を抜くと、あっという間に鍋の底で豆乳が焦げてしまうので、みんな真剣なまなざし。小野田さんのサポート役で、とうふマイスターの資格を持つ中村さんが、ていねいにそれぞれのテーブルをまわり、豆乳の温度や、混ぜ方をフォローしてくれます。

とうふににがりを混ぜて
ゆっくりゆっくりかきまわします

焦げないように
ていねいに

材料は、だいず・にがり・水だけ
シンプルでおいしいとうふのできあがり

大豆を一晩ほど水に浸し、それをすりつぶして(家庭であればミキサーで)、それを絞って出てくるのが「豆乳」と「おから」です。その豆乳に、にがりを加えてさらにあたためて固めたものが、すなわち「とうふ」です。とてもシンプル。改めて言われてみるとハッとしてしまうほどシンプルなものですから、選ぶ大豆の味や香り、選ぶにがり、水、そのひとつひとつが、とうふの味に大いに影響してきます。豆乳のしぼり方や、混ぜ方でさえ味に影響してくるのだから、本当に奥が深い。だから、同じ豆乳と調理器具を使っているのに、すべてのテーブルのとうふの味が違いました。うちのがおいしい!とみんな口を揃えて言うのですが、実は小野田さん中村さんが驚くほど「おいしい!」と唸ったとうふが1つありまして、そのチームは静かにそっとていねいに混ぜていたようです(シンプルだけれど難しい)。

いつもとちがうとうふ
いつもよりおいしいとうふ

みんな口をそろえて言うのが、「いつも食べているとうふと、同じとうふとは思えない」ということ。そして、こんなにおいしいとうふが食べられるのならば、家で作りたいなあ、という言葉もたくさん聞こえてきましたが、けれど、そう簡単にいかないところが、小野田さんの腕によるところ。おいしいだいずを選ぶ。おいしく搾る(しぼる)。これがなかなか難しい。まず、おいしいだいずはなかなか流通していないので、手に入れるのが少し困難です。そして、おいしいだいずは、手塩にかけて育てられているので、少しだけ値段が高くなります。小野田豆腐店のとうふが、少し高く感じるのであれば、それは、おいしいだいずを選んで使っているからです。でも、食べればわかります。少し高くても、こっちを選ぼうと思わせてくれます。だって、味が全然ちがうんですから。

とうふマイスターの中村さん
くらしに役立つアドバイス

意外と知らない
とうふのあれこれ

さいごに

同じ「おいしい」と言われる品種のだいずでも、農家のひとの気持ちがこもった方のだいずを使いたいと、小野田さんは最後にいいます。それが理由で少し高くなってしまっても、それでおいしいとうふをみんなに届けられるならと。

完成したとうふをいただく前に、禅寺での食事の際に唱える『五観の偈(ごかんのげ)』を、みんなで唱えます。君島くんによる説明のひとつに、

「この食事がどうしてできたかを考え、食事がととのうまでの多くの人々の働きに感謝をいたします。」

という意味の言葉があります。毎日のように畑に出かけ、ていねいにていねいにだいずを育てる農家さんや、毎朝早起きをして、おいしいとうふのために、毎日毎日とうふを作る小野田さんの『作法』を想像して、感謝し、いただくことが、今回のイベントの大切な「気づき」なのだと思います。それはとうふじゃあなくてもきっと大事なこと。

坐禅よりもとうふをかき混ぜるときの方が、背筋がすっと伸びたという参加者の感想も、なんだかいいじゃないですか。おいしいおいしいとうふ。見てるだけなんて辛いから、今度は食べる側として参加してみようと思います。

東長寺「豆腐と坐禅の会」

tochoji

開催日時:毎月最終火曜日
会場:東長寺文由閣 東京都新宿区四谷4-24-3
参加費:2000円(プレゼント有り)
時間:19:00 – 21:00 / 定員30名

毎回の開催情報はこちらから
https://www.facebook.com/tochoji/

———–

小野田豆腐店
住所:東京都中野区東中野5丁目25-6
電話番号:03-3371-8391

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