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みそ屋がやってる、ごはん屋です。

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みそ屋がやってる、ごはん屋です。

みそ屋がやってる、ごはん屋です。

#014 / ぞうめし屋 / 愛知県西尾市

TEXT / micco(DAYZ.), PHOTO / ぞうめし屋

愛知県で育って早20年。気づくと、この土地が私のふるさととなっていた。名古屋は都会だけれども、東京や大阪なんかと比べちゃ、なんだかどこか垢抜けない。ちょっと車を走らせれば一面にお米や小麦がわっさわっさと風になびいている。

空は青く、広い。だが、だら、じゃん、りん、なんて方言だってある。そんな私のふるさと愛知県で、グッと温まる美味しいご飯が食べたい。おなかも満たされ、心もひたひたに満たされるようなそんな食事がしたい。

なんなら、作る人のことだって知りたい。ごはんは作る人と、食べる人とを繋ぐコミュニケーションの一種でもあるはず。そんな思いから、愛知県西尾市にある「ぞうめし屋」を訪ねてみた。

西尾市は愛知県の中心から少し下の辺り、海に面する自然ゆたかな町。そこにぽつりと立つのが「ぞうめし屋」。ぞうめし屋は戦後から60年続く「今井醸造」という「みそ屋」がはじめた「ごはん屋」さん。ぞうめし屋の店主、「いまだいさん」こと今井大輔さんに話をうかがった。

ー どうして「みそ屋」を?

戦後、祖父が酒蔵だった土地を使ってできる商売を、ということで数年ほど味噌蔵に弟子入り、ノウハウを掴んで、今井醸造をスタートさせたんですよ。当時は移動販売というか、味噌を売る行商のような感じでやっていたようで。それから店を構えて、父が継いで、父母3人で切り盛りしていて。僕が20歳の頃、体の弱ってきた祖父に代わりにやってくれないか、と誘われたのをきっかけに今井醸造に蔵入りしました。

30歳くらいまで普通に味噌作っていて、自分たちがいいものを作っている、という自負は確かにあって。

どうやらそうでもないらしい、

そしていいものを作っていれば売れると信じていた部分があったんだけれども、どうやらそうでもないらしい、と気づいたんですよね。

もうすこし自分から情報を前に出して、それをどこかに拾ってもらってたりするような、そんなことをやならあかんなぁとだんだん思い始めて。それから、SNSやブログ始めたりして、それがだんだん広がって。そうなると、自然と人間が交流する範囲が広がっていくじゃないですか。それで屋台をやっている人と知り合いになって、プライベートで遊んだり、屋台をやっている様子とか見て、移動販売やってみるか、となりましたね。

みそ屋の移動販売、
車の中にはなんと「かまど」。

最初の1年は厳しかったですけどね。結果が欲しいひと、楽しくやれていればいいというひと、いろんなひとがいると思うんだけど、一応家族もあって、今井醸造をあけて出店に行くわけじゃないですか。だからやっぱりそれなりの見返りがないと良くないなあと思っていて、なんで売れないのか、とか、商材が良くないのか、とか、見せ方がわるいのか、とか、そういうのを考えながらちょっとずつ新しい看板をつけたり、新しい機械を先行投資で入れたり、そういうのでちょっとずつ変えながらって感じですかね。

うちの場合だと、かまどを車に積んでいて、メディアの方に面白そうと取り上げてもらったりしてじわじわと。屋台ってふつうは屋台が集まってるところに行って、その中から「おいしそうだな」と思ったところで食べると思うんですけど、うちの場合は、

お客さんに喜んでもらうアイデア。
SNS を通じたコミュニケーション。

自分たちがお客さんを呼ぶ屋台になるっていうのが目標でした。イベントの集客にすがる屋台じゃなくて、自分たちがお客さんを抱えて、引っ張ってきて、それでお客さんが集まっていると、ほかが目的で来ているお客さんも集まってきてくれる。お客さんのいない飲食店にはお客さんは入ってこないじゃないですか。多少なりともお客さんが入っていて、隙間があるから入れる、みたいなのを意識していました。

ずっと SNS やブログをやっていて、告知やコミュニケーションの大事さみたいなものは特に感じていて、ほかが暇でもじぶんのところだけブログを見た常連さんがきてくれるっていうのが結構ありました。少し前はお店の宣伝のための SNS っていうのは主流じゃなかったから、なんでぞうめし屋さんはいつもそんなにお客さんが来るんだ、と、まわりに言われたりもしました。

移動販売から現在の実店舗へ
お客さんの後押し、そして実績。

ただ、やっぱり屋台でやれることってメニュー的にも限られてきてしまって、移動販売を始めて2年くらいした頃から水面下で現在の店舗の準備をはじめていました。それでも現実問題、お店を出したからって売れるわけではないだろうし、準備といってもかなり慎重でしたね。まあ、でも、出しちゃいました(笑) きっかけは正直、勢いでしたね。後押しはお客さんがしてくれましたけど。

昔、ぞうめし屋をやる前に串カツ屋をやりたいと言ったことがあって、みそ屋だから串カツ屋をやりたいって。本当にまあ今かんがえればアホな話で…。実際、「甘いことを言って」みたいに父に怒られたんですけど、でも、ぞうめし屋の店舗を作りたいって言った時は父も母も応援してくれた。ぞうめし屋の移動販売の実績も含めて、ある程度認めてくれたんだと思います。

自分の作るものに自信があるなら、
一人でもたくさんの人に食べてもらう。

店舗オープンの日はなんと4時間半待ち。大きい駐車場があるんですけど、それをはみ出して歩道までずらっと並んでいたりして。移動販売の時から、場所をここに決めましたとか、柱が立ちましたとか、SNS やブログでそういう報告をしながら、伝えながら、じわりじわりとお客さんとコミュニケーションしながらオープンさせたからだと思います。

それからも移動販売は続けています。実店舗だけでもいいのでは? って言われることも時々あるんですが、うちの場合は、移動販売があったからこそ、お客さんとのコミュニケーションがあって、この店が出来た。だから「移動販売やめちゃったよね」と、お客さんに言われるのもいやだし、自分の作るものに自信があるなら、一人でもたくさんの人に食べてもらった方が絶対にいいと思っています。

ー ふだん、お店を運営するにあたって
意識していることありますか?

自分がお客さんでいる立場というか、こっちがする接客ももちろん自分がされたら嫌なことはしない。食事ももちろん、盛りが多いだけがいいわけじゃないし。たくさん出てきたら、全部食べなきゃと思う人もきっといるだろうし。基本的にレギュラーメニューは自分で考えていて。もともとぼくもお客さん側だったから、なにがおいしそうに見えるかとかは、何となくわかっているというか。だれかがおいしそうと思う構成だったり、見た目とか、食べたい食材とか、そのあたりを素直に出している感じかな。

ひとってこどもの頃に好きだったものって変わらないじゃないですか。そういうところを突きたいと思ってます。ドーナッツでも何種類ものスパイスを使ったものよりも、「あ、これこれ!」みたいな、みんながおいしいと思うものを作りたい。褒められたいもん(笑)

スタッフのみんなで「ドシッ」と
「おいしい」を届けていきたい。

「言わなくても分かる」みたいなこともあるかもしれないけど、きちんと相手に伝えるべきだと思うし、そこはいつも気をつけていますね。だから、スタッフのみんなにもそう。ひとを雇う側としても、お店をやっている限り、利益を生まないといけないし、働いてくれているこたちにお給料を払わないといけない。できる限りスタッフのみんなにはいい環境で働いてもらいたい。そのためにはやっぱりお客さんに来てもらわなきゃいけなくて、来てもらえるようなお店にしないといけない。

この「ぞうめし屋」という店で、スタッフのみんなと「ドシッ」と「おいしい」を届けていきたい。その中で、コミュニケーションのための移動販売もしっかり続けていきたいと思っています。

さいごに

いまだいさんはしっかりと現実を見た上で、地元に根付くお店を、お客さんが喜んでくれるお店を、スタッフが働きやすいお店を作り上げている。

米離れ、みそ離れがうたわれるいま、「みそ」をベースにした飲食店を続けていく秘訣には、いまだいさんの努力とアイデアと人柄があった。みそは1年熟成させて出来上がる。暑い日も、寒い日も、蔵の中でじわりじわりと味噌に近づいていくその時間は日本人ならではの伝統だと思う。そして、それを今も作り続ける「ひと」の仕事はなんとも尊い。

だれかにおいしいごはんを届けたい。そんな素直で純粋な気持ちが人を動かす。素人だから、料理なんてやったことないから、そんなものは関係ないみたいだ。

ぞうめし屋

〒445-0081 愛知県西尾市志籠谷町欠下53-1
TEL:0563-65-6995
11:00~15:00(L.O.14:00), 18:00~22:00(L.O.21:00)
定休日 / 月曜・第1火曜
WEB:http://www.zoumeshiya.com

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