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おいしいだいずでくらしをゆたかに

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130年以上つづく伝統の中で、しなやかにはぐくまれた「正直」なとうふ

130年以上つづく伝統の中で、しなやかにはぐくまれた「正直」なとうふ

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1日1日をおいしくすごすための「DAYZ.」のはじまり

130年以上つづく伝統の中で、しなやかにはぐくまれた「正直」なとうふ

#001 / 上村豆腐店

PHOTO & TEXT / JUNYA KATO(DAYZ.)

おいしいだいずでくらしをゆたかに。
DAYZ. が掲げるこのコンセプトは、ぼくらからの提案というより、どちらかと言うと、ぼくらひとりひとりの願いであり、ここに集うみなさんのくらしをゆたかにするためのアイデアの種でありたいというシンプルな想いから生まれた、ことばです。

くらしをゆたかにすると聞くと、またずいぶんとおこがましいことのように思えますが、ぼくらがえらんだ方法は実に単純明快で、つまり「おいしい」をぼくらのくらしの中に増やす、ということその一点。例えば、いい音楽や、素敵な小説、映画に出会った時のように「おいしい」ものを、だれかに伝えることが出来たら。そして、ひとりひとりが「おいしい」を、ひとりひとりの「くらし」の中で無理なく選べるような、そんなきっかけとなる言葉や景色を、DAYZ. は、メディアとして発信して、共有していけたらと、そう思っております。

おいしい、をぼくらのくらしの中に増やす。それだけならとても簡単な気がしませんか? たとえばスーパーマーケットに『A』の商品と『B』の商品が並んでいる時に、いつも食べている『A』もおいしいかもしれないけれど、もしかしたら『B』もおいしいかもしれないからためしに食べてみよう。という具合に「おいしい選択」そして「おいしい発見」をみんなで一緒にしてゆけたら、それでいいのですから。
ただし、えらぶからには「正直」な方がいいと思うんです。余計な詮索をせずに、かぎりなく直感を信じてよいと思うのです。だっておいしくないものをおいしいと言ってしまうようでは、ぼくらのくらしも、はぐくんできた文化もぜんぶ「うそつき」のせいで台無しになってしまいますから。おいしいものはおいしい。それでいいと思うんです。しかしこの「正直」というのは単純でいて実はとても難しい。
でも、それが大切だって教えてくれたのはある1つのとうふ屋さんでした。記念すべき第1回は、そんな「とうふ屋」さんの、お話です。

130年以上つづく伝統の中で、
しなやかにはぐくまれた「正直」なとうふ

明治からつづく「上村豆腐店」は、水と緑のゆたかな「杜(もり)の都」宮城県仙台市にある町のとうふ屋さん。

澄みきったみずみずしい空気が、太陽の光で少しずつあたたまる1日のはじまり。早朝6時にオープンするとうふ屋はまるで、朝を知らせる灯台守のよう。その日の気温、湿度、井戸水の冷たさをはかりながら、とうふを仕込み、通学するこどもたちを見守り、あいさつを交わす。常連客となにげない会話を交わしながら、町のひとたちの食卓においしいとうふを届けながら、時に町に繰り出して、とうふの魅力を伝え歩きながら、1日はゆっくり流れてゆきます。

130年。宮城という土地で、少しも変わらないということはないかもしれないけれど、きっとずっとこうして、昔からそうであったかのように、おいしいとうふと町との関係がゆっくりしなやかに育まれていったのだと感じる正直な店がまえと、四代目店主・上村修治さんの、正直な姿勢。

手造りへのこだわりと、
それを伝えるためのコミュニケーション。

時代の変化や、日々うつろう消費者のニーズ、後継者不足や原料大豆の価格高騰、PR力不足など大きな問題を抱える「とうふ」業界の中で、130年つづく上村豆腐店がえらんだ道は1つ。

ー 手造りにこだわり、毎日でも食べたいと思えるとうふを届ける。

つまり原点に戻ったのだと四代目は話してくれました。オートメーション化せずに手造りにこだわったとうふづくりも、リアカーにとうふを乗せて町に出るスタイルも、新しく生まれるオリジナリティ溢れる商品、SNSを使った発信もすべて、「おいしい」を届けるためのアイデアであり、原点へ戻るためのアクション。すなわち、これがずっとつづいている理由。話題を投げかければ返ってくる「会話」のようなコミュニケーションを大事にすることで、その思いはひとからひとへ伝わり、つながり、「おいしい」がだんだん広がって行く。そんな正直でシンプルなコミュニケーションが、とうふだけではなく、すべてのことへの正解とさえ思えてきます。

手造りとうふの魅力と、おいしい不思議。

とうふづくりの行程に「大豆を水にひたす」という作業があります。
上村豆腐店ではきれいな井戸水が沸き、その水に、地元で大切に育てられた有機大豆をひたす。これだけでも上村豆腐店のとうふの魅力が伝わるけれど、さらにここで不思議なことが起こります。

真夜中、水にひたした大豆が、まるで作り手にそっと話しかけてくるように、音を鳴らし始める。なんとも不思議なその声の正体は、大豆の薄皮が一斉にはがれる音。手造りだからこそ聞こえてくる音です。(実は似たような話を「しょうゆ」の話で聞いたことがあるのですが、昔から続く樽には発酵するための「菌」がたくさん住みついていて、蔵に入ると一斉に菌たちが騒ぎ立てるのだといいます。)

豆乳とにがりを混ぜる時も、まるで相手に「想い」がバレるかのように、その時の気持ちが、とうふに映るそう。悩み落ち込んでいる時にまぜたとうふは、味も落ち込む。まるで生きているかのような「おいしい」とうふの話。「手造り」ならではの話です。

食べればわかる。おいしい発見。

あたりまえのように思える行程でさえ、実はとても繊細で大切で、とうふの味を1日1日おいしく変えてゆきます。だからこそ、使う大豆はもちろん、作るひとや土地が変わるだけで、いっけん同じに見える「とうふ」の魅力も、個性的に、時に劇的に変わってゆきます。

ー 食べくらべてみればわかる。

しかし、その「食べくらべ」てもらうことさえ、いまの「とうふ」の価値観の中では大変なのだと上村氏はつづけます。例えば1パック100円で売られているとうふと、200円のとうふが並んでいたら、おおくのひとが100円のとうふを選ぶ。とうふはとうふでしょう、という具合に。ただ、ぼくらはここで100円以下で売られているとうふの味を否定したいわけではなくて、声を大にして言いたいのは、ぼくらは「えらぶ」ことができるということ。そして、「えらぶ」というアクションが、「おいしい発見」につながり、ぼくらのくらしをゆたかにするためのヒントになるような気がする。ということです。

さいごに

では、おいしい「とうふ」はどこで食べれるのか。日本中のとうふを食べてみたいけれど、なかなかそうはいきません。けれど、DAYZ.をはじめて、いろいろな大豆の生産者、作り手の方たちにお会いして話を伺ったり、いろいろなとうふを実際に食べてみると「おいしいとうふ」に出会うことは、そう難しいことではないような気がします。

例えば上村氏が、長い月日を費やして完成させた1箱1000円以上する「扇」シリーズ。「正直に作ったらこの値段になっちゃった」と笑いながら話す上村氏。しかし「高い高い!」と騒ぐのも、そのとうふをひとさじ口に運ぶまで。そのとうふはチーズみたいに濃厚でクリーミー。これでもか!というほど香りが高く、まさかこれがとうふとは思えないほどに美味しいのです。思い出すだけで口の中いっぱいに濃厚な風味が漂うほど。忘れられない味。つまり納得のお値段と、納得の味、なのです。

つまり、こうしている今も個性的でおいしいとうふは作られているし「少しでも多くのひとにおいしいとうふを食べてほしい」という企業努力から生まれた「おいしい」新商品もたくさんあります。

「えらぶ」だけで「おいしい」は発見できます。

これを機に、いつもと違うとうふを、いつもの食卓にならべてみてはいかがでしょうか。

上村豆腐店

〒980-0804 宮城県仙台市青葉区大町二丁目5番16号
TEL:022-222-2810
FAX:022-222-2845
定休日:日曜日
営業時間:AM6:00~PM7:00
WEB:http://uemuratofu.com

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