よむ DAYZ.

おいしいだいずでくらしをゆたかに

DAYZ. NEWS

Q DAYZ. SEARCH

準備中

  • DAYZ. ONLINE SHOP
  • DAYZ. Twitter
  • DAYZ. Facebook

よむ DAYZ.

メニュー

おいしいだいずでくらしをゆたかに

loading

読む。おどる。伝わる。出会いを紡ぐみそのうた。

読む。おどる。伝わる。出会いを紡ぐみそのうた。

特集 特集

お気に入りのレコードを選ぶような感覚で

読む。おどる。伝わる。出会いを紡ぐみそのうた。

#005 / お気に入りのレコードを選ぶような感覚で

PHOTO & TEXT / JUNYA KATO(DAYZ.)

高校生の時に聞いていた音楽を思い出してみる。
フィッシュマンズ、サニーデイ・サービス、スチャダラパー。スピッツやくるりが好きだったなんて友達もいて、ときどき CDを貸したり借りたりしていて、たまに誰かがものすごくおかしな、外国のヘビメタのCDなんかを持って来て、部室のラジカセの前で目と耳が点になっていたのを思い出します。あれがいいとかこれがいいとか。これはどうだ、これはいかんとなれば、むむむ、わからんやつだな、と。
じゃあこれならどうだ、なんて具合に、音楽だけじゃあなく、映画や小説、カップラーメンの味やファンタの味に至るまで、どうだどうだ、と。いま思えばプレゼンテーションの毎日だったように思います。大げさに話をするヤツも言えば、そっと机の上にオススメの本を置いて行くヤツもいて、「発信」の仕方はみんなそれぞれだったけれど、プレゼンするのもされるのも、1つ1つの情報が宝物のようで、楽しかったなあ、と。

山梨は甲府にある老舗「五味醤油」は、明治元年から150余年つづく、みそ・しょうゆの醸造店。五味醤油と言うけれど、現在では「麹」や「甲州やまごみそ」の生産・販売を中心に、いろいろな「発酵商品」の取り扱いや、醸造の文化を伝えるための活動を県内外問わず行っています。お店の雰囲気はまるでレコードショップか雑貨屋。ブックストアかカフェのよう。例えば、大好きなミュージシャンのレコードを紹介するかのような感じで。オススメの雑貨を紹介するかのような感じで。昨日仕入れたとっておきの本や、今日の気分にあったコーヒーをそっと出してくれるかのような感じで「しょうゆ」や「みそ」や「麹」について話してくれるから、ぼくらは帰り道、つい、たくさんのみそや麹の商品を抱えて帰ることになるんですが、今回は、そんな、ちょっと変わった「イマドキ」な老舗「五味醤油」を拠点に、発酵兄妹として、メディアやワークショップを通じ、さまざまな啓蒙活動を行う五味兄妹に話を聞いて来ました。

本屋で出会った「読む」おみそ。

編集部が五味醤油の看板商品「甲州やまごみそ」にはじめて出会ったのは2014年の東京。音楽や演劇などの文化が集まる下北沢という街の片隅の B&B という本屋で出会いました。たくさんの本が所狭しと並んだ小さな本屋ですから、それだけ聞くと「え? 本屋にみそ?」と、疑問に思いそうなものですが、ごく自然に、あたりまえのように書籍と一緒に面陳されている「甲州やまごみそ」。気づいた時にはぼくらはそれを「読んで」いました。

五味醤油の甲州やまごみそは、お米と麦の2種類の麹をミックスした山梨独自のお味噌です。サッパリしているけれど、ほんのり甘い。発酵が止まっていないので、時間が経つにつれ、味わいが増す手作りの味をどうぞ。

本と一緒に置かれたやまごみそのパッケージには、こんな風に、甲州やまごみその魅力が大きく大きくシンプルに描かれています。

表紙を開けたら、おいしい味噌汁

そう。だから、ぼくらはまるで立ち読みしていた本を「家でゆっくり読もう」と思い返してふっとレジへ持って行くような感じで、「みそ」と気になっていた書籍と雑誌を1つの袋へ入れてもらい、下北沢を後にしたのです。

表紙の言葉に噓いつわりなし。表紙を開けたら、文字通りおいしい味噌汁が出来た、という具合。サッパリとした『あわせ味噌』ですから、お味噌汁もサッパリ仕上がるので、朝、寝起きの1杯にもってこい(個人的には二日酔いの朝なんかにもってこい)です。塩分もキツくなく、隠し味にももってこい。野菜スティックなんかにも最適です。そして何より、シンプルな言葉に詰まった「おいしさを届けたい」という気持ちが、発酵と一緒にみそをどんどんどんどんおいしくしてくれているような印象さえあります。実際にこの「甲州やまごみそ」を作っている五味兄妹に会ってみると、この「伝えたい」という想いがとてもシンプルに備わっているのを感じます。

うたと絵本で伝える伝わる。
出会いを紡ぐ、手前みそのうた。

彼らの「伝えたい」という気持ちが形として表れているプロダクトの1つに手前みそ(自家製の手作りみそ)を作るための「手前みそのうた」があります。こどもにもわかるかわいらしいイラストに合わせてみそ作りのプロセスが歌になっていて、みそ作りの魅力を、頭で考えるのではなく、体(五感)で感じ、その歌に合わせて歌って踊れば、誰でも自家製のみそを楽しみながら学び、仕込むことができる素敵なプロダクト( ※2014年グッドデザイン賞を受賞

ここで抱く疑問が、味噌を作って売るお店が「家でみそを作る」ということを推奨するというなんとも気持ちのいい矛盾。本来「みそ」はそれぞれの家庭で作り方や味が受け継がれる文化がありました。けど「みそが売れなくなるくらい普及したら日本の未来は明るいですよ」と、笑いながら話す五味兄妹の優しい矛盾の中に、生業とする「みそ」への愛情や、日本食文化への敬意を感じることができます。

おとなからこどもへ
こどもから、おとなへ

五味(兄)— 実はパッケージも絵本も「こうやれば伝わるであろう」っていう風に志をもってはじめたわけではなくて、イベントや出会いを通じてやっていくうちに気付くんですよね。大人に向けて「みそ」の魅力を普及しようとしてもなかなか届かないけれど、「おいしいみそしるが食べたい」っていうこどものひと声で親は振り向くんだって。例えば手前みそづくりのワークショップ1つとってみても、こどもが楽しそうに歌って踊ってみそを作っていると、後ろで立って見ているだけの親にも自然と笑顔がこぼれてくる。こどもからおとなへ伝えられるものもあるんだなって。

五味(妹)— それに、みそって作る楽しみだけじゃなく、作ったあとどう料理して食べるかっていう楽しみもあるので、そういったコミュニケーションが親子の間で生まれるのも素敵だなあと思いました。親子で参加することでたのしみが2倍にも3倍にもなるなあと。

さいごに

取材のあいだも、友人のカフェで購入したオススメの豆でコーヒーを淹れてくれたり、山梨で刊行されているオススメのフリーマガジンを紹介してくれたり、昨日、甲府にライブしにきたミュージシャンの話や、フェスの話、東京と山梨を行き来するカルチャーの話で盛り上がるんです。だから、昔からの技法で、ずっと前から続く蔵に佇む五味兄妹は、職人というより、友達って感じで。使い古された樽の「たが」の交換の話も、彼らが話すと「リペア」っていう感じで。着てる服も、聞いてる音楽も、たのしいって思うことも似ていて、同世代なんだなって強く感じました。

ぼくらのくらしの延長にある景色の中で、みその伝統を受け継ぐ発酵兄妹こと五味兄妹。そしていまも現役で働く5代目の父と、明るく店番を務めるハイカラなおかあさん。そして取材中、終始にぎやかだった息子のたろくんに囲まれて、1つの家族が、日本の食文化を支えている1本の大事な柱なのだなって改めて気付くと同時に、ぼくらはもっと、だいずをつうじて、例えばお気に入りレコードを選ぶような感覚で、食を楽しめたらなと、心のそこから思うのでした。

五味醤油

〒400-0861 山梨県甲府市城東1丁目15−10
TEL:055-233-3661
FAX:055-232-5332
定休日:日曜・祝日(お盆・年末年始)
営業時間:9:00〜18:00

WEB:http://yamagomiso.com/
SHOP:http://yamagomiso.shop-pro.jp

TOP

関連記事

#018 ぼくらが(だいずの畑へ)旅に出る理由 #03特集特集

#018 ぼくらが(だいずの畑へ)旅に出る理由 #03

早朝。初夏の低い太陽に照らされた畑の土。まわりを取り囲む山々は雲ひとつない青空とのコントラストで力強く、近くを流れる川のせせらぎは、この里山のみずみずしさを感じさせ…

つづきをよむ

2018.08.10 FRI

そのほか , でいず

2018.08.10 FRI    |    そのほか    |    でいず

#017 ぼくらが(だいずの畑へ)旅に出る理由 #02特集特集

#017 ぼくらが(だいずの畑へ)旅に出る理由 #02

東京から約2時間。神奈川の西に位置する南足柄市。その中でも矢倉沢は自然ゆたかな里山。ぐるりと囲んだ山々。鏡のように空を映す水田。無人の野菜販売所。お茶の段々畑。町中…

つづきをよむ

2018.05.30 WED

そのほか , でいず

2018.05.30 WED    |    そのほか    |    でいず

#016 ぼくらが(だいずの畑へ)旅に出る理由 #01特集特集

#016 ぼくらが(だいずの畑へ)旅に出る理由 #01

東京から約2時間。神奈川県の西に位置する南足柄市。町の70%近くが森林ということもあって、暮らしのすぐそばに豊かな自然があります。目の前にそびえる山の緑は季節問わず…

つづきをよむ

2018.05.25 FRI

そのほか , でいず

2018.05.25 FRI    |    そのほか    |    でいず

#015 毎日ひとつひとつきちんとやる。決して手を抜かない。特集特集

#015 毎日ひとつひとつきちんとやる。決して手を抜かない。

今回は編集長のぼくがいままで食べてきた「とうふ」の中で、いちばんおいしいと思った「とうふ」を〈つくる〉ひとへ話を聞きに行った。しかしながら、ぼくはひとに自慢できるほ…

つづきをよむ

2017.05.22 MON

とうふ

2017.05.22 MON    |    とうふ

#014 みそ屋がやってる、ごはん屋です。特集特集

#014 みそ屋がやってる、ごはん屋です。

愛知県で育って早20年。気づくと、この土地が私のふるさととなっていた。名古屋は都会だけれども、東京や大阪なんかと比べちゃ、なんだかどこか垢抜けない。ちょっと車を走ら…

つづきをよむ

2017.05.01 MON

みそ

2017.05.01 MON    |    みそ

#013 でいずのだいずができるまで特集特集

#013 でいずのだいずができるまで

梅雨ということで天気が心配でしたが、晴れときどきくもり。雲ひとつない晴れであれば景色はきれいだけれど、畑作業はちょっとたいへん。くもりくらいがちょうどいいんです。 …

つづきをよむ

2016.06.24 FRI

そのほか , でいず

2016.06.24 FRI    |    そのほか    |    でいず

#012 でいずのだいずを蒔きました特集特集

#012 でいずのだいずを蒔きました

日曜日の朝の新宿。DAYZ. のだいず農業体験ツアー待ち合わせ場所として指定させていただいた場所は、ぼくらだけではなく、いろいろなジャンルのいろいろなツアーのバスが…

つづきをよむ

2016.06.14 TUE

そのほか , でいず

2016.06.14 TUE    |    そのほか    |    でいず

#011 でいずのだいずができるまで その2特集特集

#011 でいずのだいずができるまで その2

DAYZ. の「だいず」づくりの記念すべき1回目の「蒔く」が、2016年5月29日(日)に開催されます。天気予報は現時点では晴れのちくもり。山の天気は変わりやすいと…

つづきをよむ

2016.05.27 FRI

そのほか , でいず

2016.05.27 FRI    |    そのほか    |    でいず

#010 でいずのだいずができるまで その1特集特集

#010 でいずのだいずができるまで その1

おいしいだいずでくらしをゆたかに。この言葉を掲げて2年経ちます。手前みそだけれど、ぼくや、ぼくのまわりは少しずつよくなっているように思います。おいしいものを積極的に…

つづきをよむ

2016.04.03 SUN

そのほか , でいず

2016.04.03 SUN    |    そのほか    |    でいず

#009 とうふとぶっきょう特集特集

#009 とうふとぶっきょう

火の灯ったろうそくにそっと手を添え、お香をたき、手を合わせ、礼をする。一連の、流れるような美しい動作と、ふわっと包み込むような線香のかおりに、参加者の緊張がほぐれて…

つづきをよむ

2016.03.08 TUE

とうふ

2016.03.08 TUE    |    とうふ

#008 あかめとしろめ うさぎ おいし ふるさと特集特集

#008 あかめとしろめ うさぎ おいし ふるさと

急に降り出した雨が、取材前に立ち寄った仙台東照宮の色濃い緑を濡らして、夏の空気をひんやりと冷ましていきました。 仙台市の北東に位置する玉手崎はなだらかな丘陵になって…

つづきをよむ

2015.09.10 THU

とうふ

2015.09.10 THU    |    とうふ

#007 職人醤油特集特集

#007 職人醤油

いまの自分が『食』について語るのはおこがましいような気がするので、ここではあくまで『楽しむ』っていうのを前提にしますね。つまり『楽しく食べる』ことの前であればお金持…

つづきをよむ

2015.06.15 MON

しょうゆ

2015.06.15 MON    |    しょうゆ

#006 萩原農園の大豆菓子特集特集

#006 萩原農園の大豆菓子

2015年1月。20年ぶりの大雪が降った山形は、その日だけ快晴。突き抜けるような空の青と、きらきらと光る白。どこまでも続く山に囲まれた町のまんなかで、目の前に広がる…

つづきをよむ

2015.05.20 WED

そのほか

2015.05.20 WED    |    そのほか

#004 DAYZ.が贈るおいしいギフト 第2弾 発表!特集特集

#004 DAYZ.が贈るおいしいギフト 第2弾 発表!

実はぼくはこどものころ、なっとうが嫌いでした。いま思えば、あのにおい、苦み、ねばねばと引かれる糸、すべての要素が子供心に憎く、給食ではいつも残していました。味が苦手…

つづきをよむ

2014.12.18 THU

でいず

2014.12.18 THU    |    でいず

#003 DAYZ.が贈るおいしいギフト 第1弾 発表!特集特集

#003 DAYZ.が贈るおいしいギフト 第1弾 発表!

12月。「あ」という間に1年が過ぎてしまったことを、いつもすこしだけ悔やむ例年でしたが、今年の12月はちょっとだけちがいます。 思えば半年前。6月。DAYZ.の結成…

つづきをよむ

2014.12.17 WED

でいず

2014.12.17 WED    |    でいず

#002 関西のひとは納豆が嫌いなの?特集特集

#002 関西のひとは納豆が嫌いなの?

関西のひとは納豆が嫌いだ。 まるで都市伝説みたいなそんな話をある日ふと思い出し、大阪の友人に「納豆好き?」と投げてみたところ「あかんあかん! あんなん食べ物ちゃうで…

つづきをよむ

2014.12.02 TUE

なっとう

2014.12.02 TUE    |    なっとう

#001 / 上村豆腐店特集特集

#001 / 上村豆腐店

おいしいだいずでくらしをゆたかに。 DAYZ. が掲げるこのコンセプトは、ぼくらからの提案というより、どちらかと言うと、ぼくらひとりひとりの願いであり、ここに集うみ…

つづきをよむ

2014.09.19 FRI

とうふ

2014.09.19 FRI    |    とうふ

編集者・スタッフを募集しております。

おいしいだいずでくらしをゆたかに「DAYZ.」では、取材をお手伝いしてくれる編集者やライター、おもしろい企画を考えてくれるディレクターや、さまざまなジャンルのスタッフ・クリエイター・アーティストを常に募集しております。
自由な発想で、好きな土地で、好きな時間に活動いただけます。
おいしいものが好きなひと、街やひとが好きなひとなど、募集しております。
お住まい・経験・年齢は問いません。何ができるかわからなくても構いません。
気軽に まで、お問い合わせくださいませ。

TOP

編集者・スタッフを募集しております。

おいしいだいずでくらしをゆたかに「DAYZ.」では、取材をお手伝いしてくれる編集者やライター、おもしろい企画を考えてくれるディレクターや、さまざまなジャンルのスタッフ・クリエイター・アーティストを常に募集しております。

自由な発想で、好きな土地で、好きな時間に活動いただけます。

おいしいものが好きなひと、街やひとが好きなひとなど、募集しております。

お住まい・経験・年齢は問いません。何ができるかわからなくても構いません。

気軽に まで、お問い合わせくださいませ。