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DAYZ. の畑の話と DAYZ. の種の話

DAYZ. の畑の話と DAYZ. の種の話

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ぼくらが(だいずの畑へ)旅に出る理由 #012

DAYZ. の畑の話と DAYZ. の種の話

#017 / 神奈川県南足柄市矢倉沢

TEXT / JUNYA KATO(DAYZ.編集長), PHOTO / YOSHITOMO KUMAGAI

東京から約2時間。神奈川の西に位置する南足柄市。その中でも矢倉沢は自然ゆたかな里山。ぐるりと囲んだ山々。鏡のように空を映す水田。無人の野菜販売所。お茶の段々畑。町中にきれいな小川が流れていて、この時期、夜になるとホタルを見ることができます。DAYZ. の『だいず』はそんな南足柄の里山・矢倉沢が舞台です。

DAYZ. の畑は15平米ほどの大きさ2枚。この畑は、矢倉沢にある ペンション『まつが』 を運営するオーナーの鈴木さんがもともと田んぼとして使っていたところ。観光協会の会長でもある鈴木さんの「町を活性化させたい」という願いと、ぼくらの『だいず』を育てたいという想いがつながって、しばらく耕作されていなかった土地が『だいず』の畑として生まれ変わりました。鈴木さんの想いを受けて、この畑に集まるたくさんのひとたちに、これを機に矢倉沢の自然の魅力を知ってもらいたいですし、自然の中で遊ぶ楽しさを感じてもらいたい。その中で「また遊びに来たい」と思ってもらえるひとがひとりでも増えたらとてもうれしいです。

もうひとつ。DAYZ. の畑を通じて、農業に興味をもってもらえたらうれしいです。農作物を作る楽しさ、収穫の喜びだけではなく、自然の厳しさ大変さも含めて。天気や季節を感じながら、誰かの暮らしに想いを馳せながら、楽しみながら、畑の上で一緒に『食』と『文化』のことを考えられたらと思います。ぼくも、だいずを育てるという体験を通じて、その1粒1粒の大切さに気づきました。それからはお米も野菜もお肉も、どんな食べ物だって誰かが作って運ばれてくるもので、それは決してかんたんではないと知ります。無肥料・無農薬となるとその苦労はひとしおです。

毎日の「おいしい」という気持ちや、安心して食べられる環境というのは、ひとりひとりの生産者の努力によって支えられてるのだなと感じます。夏の強い日差しの中での除草作業は本当にめまいがするほど大変です。機械でやってしまえばいいと思うかもしれないけれど、農作物を傷つけないようにやるにはなかなか難しいなと感じます。

その土地の気候・土の性質
日照条件や水はけの良し悪し

化学肥料や農薬を使わない DAYZ. の畑は、やっと安定してきたと言えます。1年目は長く続いた雨や、矢倉沢に珍しく降り積もった雪にやられてしまって、みんなで育てた畑は見るも無残な状況に(日本中の農家が雨の被害に頭を抱えた年でした)。畑は、その土地その土地の環境があって、種にも『品種』があって、その畑と品種との相性はもちろんですが、その土地の気候や土の性質、日照時間、あるいは水はけの良し悪し、そんなひとつで収穫量や質が左右されます。

DAYZ. の畑はもともと田んぼだったために水はけが悪いのが最大の弱点だと知ります。夏、枝豆になる頃には枝も力強く、はちきれんばかりに大きく膨らんだ枝豆は濃く甘くみずみずしく、この土地での成功を予感したのですが、その後だいずは秋になっても一向に枯れず(だいずは畑の上で枝豆の状態のものが立ち枯れて、さやがカラカラに乾ききった秋頃に収穫となります)。乾ききる前にたまった水で根やさやが腐り始め、ほとんどが病気に。大失敗でした。腐っただいずを畑の上で燃やした経験はとても悔しくて、いまでも原動力になっています。

1年目の失敗と反省
それを受けての2年目の行動

1年目の反省をふまえ、2年目は時期をずらしました。なるべく乾季に長く時期がかかるように調整し、さらに水がたまらないよう『畝』(うね=土を盛り上げて山と谷を作り山の方に種を蒔きます)を去年よりも高くし、水が根っこのあたりにたまらず、下へ下へと流れていくような作りに。そして、種蒔きのあとは除草作業が必要になるのですが、なるべく『だいず』だけに土の栄養が届くように、すぐに伸びてしまう雑草のせいでだいずが太陽の陰にならないように、種蒔きのあとの「除草」のタイミングを早めることも、1年目の反省を活かしてのことでした。あとは祈るのみ。

東京で暮らしながらも南足柄の天気予報を見て暮らす。台風の知らせに胸がざわつき、晴れマークが並ぶと嬉しくなる。天候不良が続き、野菜の値段が高騰。そんなニュースを見ていると、農家の苦悩が手に取るように伝わってくるのです。少しも食べ物を粗末にできないなといまは思います。

地域で守られる『在来種』
納得の味とだいずの伝統

次に種の話。2年目は時期の調整のほか、たくさんの『だいず』の品種を育ててみました。さまざまな地域の品種の中から、食べたいもの、縁があるもの、育てやすいもの、などさまざまな切り口で選んで蒔いてみました。ぼくたちの畑で取り扱う『だいず』は『在来種』と呼ばれる種。かんたんにいうと、国の奨励で育成しやすいよう品種改良されただいずではなく、「その地域で昔から守られている種」です。大きな違いといえば、『味』です。それは濃厚で、甘みやコクなどはコーヒー豆のようにそれぞれの産地による個性にあふれています。例えば全国的に人気の枝豆の品種『だだちゃ豆(山形)』は選抜育成された在来種です。環境によって味が落ちてしまわないよう生産地を限り、ブランドを守り続けています。千葉県君津にも『小糸在来』というだいずの在来種があり、町のいたるところで名物として見かけることができます。地域によってそんなふうに在来種が守られ、残っている地域があります。

納得のいく『だいず』を育て
『これから』につなげていく

しかし在来種は環境に対して繊細で、もともと希少価値が高く、ほかの農作物と比べても『だいず』単体としての販路がなかなか獲得しづらく、さらに手のかかる無農薬で積極的に育てる・守ろうとしている農家は多くありません。継がれることなく、なくなってしまった在来種もあります。小糸在来のように幻とされながらも再盛した例もあります。在来種の枝豆はほんとうにおいしい。だいずも豆乳は濃厚で、とうふで食べると感動するほど。DAYZ. としては「おいしい」のはもちろん、育てるにも食べるにも、そして誰かに食べてもらうにも、「納得」できる選択肢があるとするならば、『無農薬で育てる在来種』。このひとつしかありません。ただ、南足柄ではまだ在来種に出会えていません。ですが、 DAYZ. のだいずが、この先、この土地の在来ではないかもしれないけれど、この地域でみんなで代々守り続けたくなるような『だいず』になっていけばいいなと思っています。そのためにも、納得のいく『だいず』を選び、育てたいのです。

今年の種の話

2年目、*10種類 ほど蒔いた種でしたが、環境が合わず傷んでしまった品種、枝豆としてはじゅうぶんだけれど、雨に負けてだいずにまではなれなかった品種、少しも育たない品種が多々あった中、驚くほどたくさん採れただいずが2種類ありました。

ひとつは、南足柄の山あいにある(南足柄に行くと必ず毎回訪れるほどにおいしい)石窯焼きのパン屋「たかはし」の高橋さんにおすそ分けしてもらった『だいず』。そしてもうひとつは、初年度、自然の被害にやられながらもわずかに採れた奇跡とも言えるDAYZ. の『だいず』たち。まさに優性遺伝。「強い子たちだあ!」と手放しで歓喜しました。一度は諦めかけてただいずのプロジェクトでしたが、「このだいずを守るんだ」と、スクラムを組んだ気分で今年3年目を迎えることになります。環境に合う種を得た、という自信が、今年の成功への確信へつながっています。ぜひ、種を蒔く喜びを。そして収穫までの楽しみを、みんなで分かち合えたらと思っています。

* 10種類 … 豆の通販サイト haru beans の協力のもと、だいずを提供いただきました。

今年もだいずの畑がはじまります!

DAYZ.の農業体験 2018 #01『自然豊かな里山で大豆を蒔く』
with MIZ acoustic LIVE!

2018年6月3日(日)*雨天時は6月10日(日)
開催時間:11時〜15時(移動時間は含みません)
イベントの詳細・参加申し込みはこちらから

*畑には行けないけれど「食べて支援!」という方も一読ください!

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